クレール日記

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難しい建築のタイミング

先日、3月2日付の読売新聞に『転機の復興② 住宅再建入札不調の影』という記事が掲載されていました。

北日本大震災の災害公営住宅(復興住宅)建設が進んでいないということです。工事の入札不調などにより、被災3県で工事の契約が締結された戸数の割合は27.6%にとどっまっており、震災復興が進んでいないというものです。

その背景には人材不足や資材の高騰があるということです。
特に値上がりが著しいのが、生コンクリートで、一般財団法人「建築物価調査会」によると、仙台市での販売価格は1㎥あたり1万3700円で、震災前より70.2%も値上がりしていると書かれています。 

また人材不足に加えて人件費の高騰にも歯止めがかからず、震災前は1日1万4000円程度だった作業員の人件費が現在、2万2000円程度に上昇、特に不足がちな鉄筋工や左官の人件費はさらに高騰しているということです。東京オリンピック関係の工事が増えると、さらに人手不足に拍車がかかると懸念されています。
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全国的にも入札不調が相次いでおり、これまでの建築予定価格では落札業者が出ないという状況なのです。(最低でも3割増の建築費が必要とか?)


近隣では公立紀南病院の本館改築工事の入札が不調となっています。
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16億円の建築予算に対して、最低入札価格が22億6千万円と大幅に開きが出ました。
その後、3回目の入札を行うも不調に終わっています。(近々、4度目の入札を予定)

現在の建築事情は、事業者にとって大変厳しい状況といえます。




クレール高森の入札にいても、1回目の入札が不調でした。 当初の私たちが想定する建築費では、工事ができないという状況に直面し大変悩みました。

国の高齢者福祉の施策では、「特別養護老人ホームを今後の増加する高齢者の受け皿としては位置付けない」とされており、代わりにサービス付き高齢者住宅を増やすというものです。
和歌山県においても、ここ十年で紀北を中心に特養の整備が進みました。その間、ここ紀南地方では全く新たな特養整備の計画はありませんでした。

ですから今回、新宮市、那智勝浦町、串本町の各市町村で出された地域域密着型特養の整計画は、この紀南地方での最後の特養整備計画になるのではとも考えられます。

そういった中で黒潮園としてどうするか、
その大きな建築費増に正直、断念することも考えました。

しかし‥ 
これからの団塊の世代の高齢者の方が望まれる施設‥
自らが入所を望まれるような施設‥
現在の施設では満たすことのできない新しい施設ケアのあり方、
未来に向けた施設のあり方を追求したい‥

という想いから、さらに自己資金を捻出し入札に望む決断をしたのです。

 
特養整備の最後のチャンスであることは間違いありません。
この判断が正しいかったのか‥

少なくとも今後の社会事情を考えると、特養や病院といった規模の大きな建物の建築は大変難しい状況は加速するでしょう。消費税の増税を考えても、建てるならこのタイミングで決断して正解だったのかもしれません。

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これらの苦悩を経て建築に望んだ地域密着型特養『クレール高森』は、この地域における大きな財産となることでしょう‥。
# by kuroshioen | 2014-03-03 10:09 | Comments(0)

サンスケ

現場事務所にて…

益田設計士「鈴木さんサンスケ取ってくれる?」
鈴木設計士「はい」 あるものを手渡す。

サンスケ? 

三助? 

???


サンスケ=三角スケール でした。




三角スケールは、細長い三角柱の形をした定規で、各面の両側の辺に2種類ずつ、計6種類の異なった縮尺率の目盛が付いており、設計図や地図など縮尺図面の読み取りや作成に使用するものです。
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これを略して「サンスケ」と呼ばれることもあります。
サンスケは打ち合わせでも欠かせない道具です。

図面を実際の寸法で書くとなると、とても大きな紙が必要になります。
ですから1/50とか1/100スケールといった縮図で表されています。

「居室入口の寸法は?」
「手すりの高さは?」

この三角スケールの目盛を図面と同じ縮尺率に合わせ、図面上での長さを計測することで、ややこしい尺度変換の計算の必要なく、実際の寸法を簡単に読みとることができるということです。

私たちがこだわる「使いやすい寸法」の検証には欠かせないツールです。
# by kuroshioen | 2014-03-01 17:47 | Comments(0)

人体の構造と建築?


先日、配線工事の様子をお伝えしました。

照明やあらゆる機器は電気がこないと機能しましせん。無数の電線が天井裏や壁に配線されていますが、その様子は素人から見ると何が何だか見当がつきません。
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太い幹線ケーブルから、細い弱電関係の線まで、躯体内を末端まであらゆる方向に走行する様子をみていると、ふと医療現場で前職である理学療法士の時に勉強していた『人体の解剖学』が思い浮かびました。

「ヒトの神経系と、建築の電気系統がよく似ているなぁ‥」
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人間の『神経』は体のあちこちに網の目のように張りめぐらされ、無数の細胞や組織と連絡して、その機能を調整するはたらきをしています。

実は神経は活動電位という電気を通すこととで筋肉を動かすなど指令を伝達しています。まさに建築の配電と同じ働きをしているんですよね。



と考えると‥ 給排水の配管は『血管』? 

お風呂や洗面など色々な場所への水を送る給水関係の配管は、キレイな血を運ぶ『動脈』?
 
そして排水関係の配管は『静脈』? 

となれば躯体構造はそのまま『骨格』ですよね。
浄化槽は『腎臓』かな?

‥そうみるとなかなか面白いものです。
(こんなことを思うのは私だけでしょう!)



人間が活動するには全身をめぐる神経系や血管系が正しく機能しなければ始まりません。同じように建物も形が完成しても電気や水道が使えなければ始まりません。その背景にはこの複雑な配線や配管があるのです。

私たち医療専門職はこの全身の神経や血管の位置から名称まで全て理解する必要があります。
「設備屋さんも同じなんだろうなぁ‥ 」 

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# by kuroshioen | 2014-02-28 17:57 | Comments(0)

「せーのっ!!」


クレール高森のそばにある黒潮園で机に向かっていると‥
現場から「せーのっ!!」「せーのっ!!」という掛け声が響いてきました。

これは電気工事の職人さんの声です。

電柱から建物のキュービクルに送られた電気を、建物内の配電盤までつなぐ幹線ケーブル(電線)を、数人で『綱引き』のように引いています。

電線の始まりはユニット玄関から‥
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ユニットの中を通り‥
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天井の梁をくぐり抜け‥
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さらに進み
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電線の端を引く職人さんはユニットの奥に居ました。
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太さも重さも相当のケーブルを最長で100m程、迷路のような建物内の天井裏を這わせていきます。 何人かで部屋から部屋に、掛け声と同時に息を合わせながら線をずらし引き込んでいるのです。結構と大変な作業です。



各職人さんが黙々と作業に取り掛かっている中‥

「現場で掛け声を張り上げているのは電気工だけですねぇ~」と勝山電気さん。
# by kuroshioen | 2014-02-27 18:17 | Comments(0)

第24回定例会議 仕上げ方法の議論

現場は職人さんの活気で溢れています。

工事が最も先行する南棟1階の仕上がりに注目ですね。

今週の工程はいよいよ、フローリング床張り、壁クロス張りといったインテリアの最終仕上げ作業です。


現場に運び込まれたダンボール箱の中は天井仕上げボードです。
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悩みに悩んで選んだ床材がようやく届きました。


南棟ユニットは単純な四角形ではありません。そこで問題となるのはフローリング床張りの方向です。基本的に外に面するサッシ面と平行に張ります。
さらにユニットの形状が「く」の字に折れているため、二方向の板目が合わさる部分(取り合い)の施工が難しいということです。
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二方向の板目の付き合わせの部分に、縦に1枚板を挟めば比較的容易に施工できるということですが‥ これではせっかくのデザインが生かされません。






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こんな感じで突き合わせて仕上がるとキレイですよね。


イメージが伝わるように画像を逆さまにしていました(笑)
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先日紹介した南棟 軒天檜張りです。


そこで現場で施工する職人さんと、建材屋さん、設計士と我々でどう処理して仕上げるか議論を交わしました。
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「かなり手間がかかり、工程表の期日に張り終えることが出来るかが問題」と職人さん。

工期を優先すべきか‥
 

仕上がりにこだわるか‥

やり取りの結果
「収まりに不安があるけど、何とかやってみますわ!」と職人さん。


私「期待してますよ!キレイに収まったら感動ですね」  

職人さん「プレッシャーやけど頑張ります!」


定例会議では仕上げ方法や施工方法について、私たちと設計士の求めるものと、施工側の意見をぶつけたり、すり合わせることの繰り返しです。現場監督さんを始め、職人さんが応えてくれて初めて私たちの思いがカタチとなっていきます。

施主・設計士・施工者の三位一体となり完成に向かいます。

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# by kuroshioen | 2014-02-26 00:58 | Comments(0)