クレール日記

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ヤクルト本社中央研究所から・・・

こんにちは。

昨日、株式会社ヤクルト本社の中央研究所の研究管理センター所長 長南 治 博士、開発部次長 野中 千秋氏、また中日本支店総務課課長 兼口 達也氏の3名が黒潮園にお越しくださいました。


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私たちはお年寄りの健康管理において『腸内環境』の重要性に着目しています。

特にオムツに依存しない排泄ケアにおいて、便秘気味の方には水溶性食物繊維やビフィズス菌飲料を状況に合わせて積極的に活用しています。




最近では、この腸内環境と便秘に関する研究や、その知見も耳にする機会が多く、一般の方にも身近な知識になっています。

また、高齢者ケアや医療現場での活用も増えています。




当施設でもビフィズス菌飲料を活用しており、毎年、ヤクルトさんによる施設内セミナーを実施しています。

実は、黒潮園ではこのような取り組みが30年以上も前に先駆的に取り組まれていたんです!!





1982年発刊の日本老年医学会誌19巻6号に、

『寝たきり高齢者の排便傾向とビフィズス菌発酵乳の排便回数に対する引用効果』

ヤクルト中央研究所 田中隆一郎
特別養護老人ホーム黒潮園 下坂国雄

という論文が掲載されています。



これは、当時の黒潮園に入所者を対象に、ビフィズス菌飲料による排便傾向の改善を調べてたものなんです。

<要約>
特別養護老人ホーム黒潮園に存在する‶ほぼ寝たきり”の高齢者(平均年齢77.9±8.1歳)57例を対象に排便傾向の調査とビフィズス菌醗酵乳(以下ビ菌醗酵乳)の飲用に伴う排便傾向の改善をしらべた。対象者57例中40例(70%)は2日に1回以下の排便回数であった。また、便秘薬常用者は22例(39%)にも認められ、その排便回数は1週間当たり2回以下であった。

ビ菌醗酵乳100mlを連日20日間飲用させることにより、自然排便者9例の排便回数は、飲用前の5.7±3.3回/10日間(平均±SD)から、前半10日間の飲用で7.0±2.5回(P<0.05)、後半10日間では8.1±1.6回(P<0.01)のように増加した。一方、対象とした未醗酵乳では、自然排便者群で後半10日間の飲用期にのみ有意の増加を認めた。

上記のビ菌醗酵乳の飲用効果は、自然排便者の対象を26例に増やしても、飲用前10.8±3.8回/20日間、飲用中13.1±3.9回(P<0.01)、飲用後10.8±3.5回のように確認された。

以上の結果から、‶ほぼ寝たきり”の高齢者では便秘傾向が顕著であること、ビ菌醗酵乳の飲用によりこれらの排便傾向が明らかに改善されることがわかった。

Key Word:寝たきり高齢者、排便傾向、ビフィズス菌醗酵乳、飲用効果

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30年以上前の調査研究です。

すごくないですか?



ヤクルト中央研究所の方がたも、当時、どのような経緯でこの研究がされたのか、随分と昔のことで詳細は把握できていないという事ですが、現在のケアの礎となる論文だったのではないでしょうか?






それから30数年。

再び私たちは便秘解消と自然な排泄の自立に力を入れたケアに取り組んでいるという事なんです。





このブログでも繰り返し話をして来ましたが、これから求められるのは専門性とエビデンス(根拠)のある質の高いケアです。

そこで、黒潮園の取り組みを実証検証することは、専門職として重要と考えます。




ヤクルトさんを招いた施設内セミナーを終えたあとにそのような話を担当者としたところ、30年前の御縁がもあり… 何と東京のヤクルト中央研究所からのオファーう受け、こちらに出向いて下さったんです!!

研究管理センター所長の長南博士のお話は大変興味深いものがあり、様々な意見交換ができ大変有意義な時間となりました。




すでに、水溶性食物繊維やビフィズス菌飲料を利用者さまに活用しているため、その効果を比較検証することは難しいと言えます(すでに効果が出来てしまっている)が、私たちの熱意を高く評価してくださり、今後、互に協力してプロジェクトを進めていくことになりました。

ひと昔の介護の概念や視点を変えてみると、介護はまだまだ発展途上にあり様々な可能性を秘めています。

紀伊半島の南端の街にある社会福祉法人黒潮園ですが、全国に向けて介護の可能性や魅力を発信していけるよう取り組んでいきたいと思っています。






最後に、研究所の方から『乳酸菌、宇宙へ行く』という大変面白い書籍を頂きました。

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これは人間の健康を支える乳酸菌と腸内細菌の働きを科学的に解き明かす、最新腸内フローラ研究の決定版とされる書籍で、様々な最新の研究や知見が紹介されています。

また、タイトルにもあるように、ヤクルトさんはJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同研究として、宇宙空間(国際宇宙ステーション)における乳酸菌飲料やヨーグルトの継続摂取による免疫機能及び腸内環境に及ぼす影響の検証にも取り組んでいることが紹介されています。




いろんな事を知る。知れる。という事はワクワクします。

そして、そこからの発想の広がりが創造へとつながります。


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興味があれば是非、皆さんも一度読んでみられてはいかがでしょうか。







by kuroshioen | 2018-04-10 18:07 | Comments(0)