こんにちは。
先日、クレール高森のベッドのマットレスの導入でお世話になった(株)モルテンの中光 雄大さんにお越し頂きセミナーを実施しました。
これまでもマットレスの選択や、ベッドで寝る際にクッション等を使用し安楽な姿勢をつくる「ポジショニング」についてのセミナーをお願いしてきました。
前回のセミナーでは、褥瘡予防の「体位交換」をマットが自動で動いて行ってくれる、高機能なエアマットが紹介されました。
詳しくはこちらを参照下さい
記事『マットレスの選択』
http://kuroshioen.exblog.jp/24424091/
メーカーHP
http://www.molten.co.jp/health/product/mattress/02.html
これには大変興味があったのですが・・・
施設で購入となるとコストが・・・
(それなりに高価なものなんですよね~笑)
その時は購を諦めていたのですが、補助金を活用し購入する手立てを見つけ、「体位交換付きエアマットレス オスカー」を6台購入しました。
今回はその使用方法など、導入セミナーを実施しました。
褥瘡発生のメカニズムを解説
今回も活躍!! 『体圧測定器』
身体にかかる圧の程度がモニターで確認できます。
エアマットの効果を検証。
普通のマットに寝た場合。
モニターにはお尻(仙骨部)が青~赤に表示がされ、高い圧がかかっていることが分かります。
エアマットに寝た場合。
接地面が広くなると共に、強い圧を示す青色の部分が消失。
その後センサーが寝ている人の体重を感知し、自動でマットの柔軟性を調整。
圧のかかる赤い部分の範囲が、どんどん狭くなっていきます。スゴイ!!
膝が拘縮して伸びない方を想定。
エアマットを使用しても、臀部にかかる圧が赤く表示されています。
クッションで「ポジショニング」を行い・・・
最後の仕上げに、滑りのいいグローブをつけた右手で、背中の圧抜きをサッとすると・・・
圧の高い赤色の表示が消失。
圧抜き(背抜き)という簡単な介護技術がこれほど効果があるということに、職員も驚きの声が上がりました。これ一つでご利用者の快適性が違ってきます。
『体圧測定器』により、目で見て客観的に確認でき大変勉強になりますね。
ベッド上での生活を余儀なくされた場合に、心配となるのは『褥瘡』です。
ずっと同じ姿勢で寝ていると、身体の重みで特定の部位に圧がかかります。そのままでは痛みやしびれなど不快で危険な状態に陥ります。そして一定時間放置すると、組織が壊死して褥瘡が発生してしまいます。
そこで、病院や施設では看護師や介護職員が「体位交換」といって、定期的に寝ている向きや姿勢を変える介護を行います。
一般的にその時間間隔は基本的に「2時間を超えない範囲で」ということが推奨されてきました。
これは約40年前の、1975年に報告された「200mmHg以上の圧迫が同一部位に2時間以上加わると、圧迫された部位が壊死する」というものが根拠となっているんです。
2時間おきに夜中もこの体位交換を行う…
大変なことですよね。
看護師や介護士(在宅ではご家族)の労務負担が大きいことは当然ですが、ご本人の暮らしの視点からみても、「夜中に2時間毎に起こされ体を動かされる」というのは辛いことではないでしょうか?
安眠妨害ですよね。
私はこの2時間毎の「体位交換」には少し疑問を感じています。
(夜間の頻回なおむつ交換も同様ですが…)
いわゆる「寝たきり」にしてしまう事そのものが問題な訳ですが、そういった環境の高齢者=「体位交換」と一辺倒にケアを行っている施設があります。
2時間毎の「体位交換」が必要どうかは、「寝たきり」だから… ではなく、自分で多少なり四肢や体を動かすことができるかが重要となると思います。
仮に寝返りが完全に出来ないとしても、ベッド上で少しでもゴソゴソ出来るのであれば、体の圧を分散できるマットを使用し、クッションなどによる適切な「ポジショニング」ができるのであれば、必ずしも2時間毎の「体位交換」は必要だとは思いません。
日本褥瘡学会による「褥瘡予防・管理ガイドライン第3版」(2012年6月改訂)においても、以前のような硬いマットレスではなく、身体の圧を分散する機能のある体圧分散マットレスを使用した場合、「4時間を超えない範囲で行ってもよい」とされています。
何と言っても、「体位交換」2時間ルールは40年前の話ですからね。
しかし、褥瘡のリスクが高い、または実際に褥瘡がある方など、個々の状況によってはどうしても「体位交換」が必要となる場合があります。
そういった方には、この体位交換機能のついたエアマットは是非使いたいですね。
介助者、ご本人ともに負担の軽減が期待できます。
大切なことは、しっかりアセスメントを行い、個々の状況に合わせた「暮らし」を支援することです。
ケアの質は、スタッフの資質に比例するものと思いますが、設備や備品が充実しているかどうかも大きく影響します。
いいモノを適切に活用し、より質の高いケアが実践できるよう取り組んでいいきたいと思います。