人気ブログランキング |

クレール日記

kuroshioen.exblog.jp
ブログトップ

人事制度説明会

こんばんわ。

とにかく疲れ果てた週末です・・・。



一昨晩と昨晩、2日連続で、またまた職員全大会議を実施しました。
f0299108_1512413.jpg

内容は今年度より実施する新たな人事制度の説明です。

特に職員の皆さんが、気にかける新給与制度の解説を行いました。

配布する冊子「賃金ガイドライン」。編集と修正を重ね完成したのも説明会当日。

本当に精一杯ですね。




社会福祉法人黒潮園が設立されたのは昭和51年。今年で39年を迎えます。このように歴史の深い社会福祉法人ですが、それゆえに様々な課題もあります。

その1つには給与規定など人事制度のあり方が挙げられます。



公益、公共性をもって事業を営む法人ということで、当時、行政(市役所)の給与体系を用いられた法人が大半です。私たち黒潮園もこの38年間、この給与体系の見直しは全くされてきませんでした。

現状とのズレ…

その都度、個別事情に対応してきたことによる不合理な点…

年功型賃金制度の限界…


前年度の事業計画にて「未来に輝き続ける法人を目指して」ということで、これまでの経営陣の誰もが手をつけてこなかった、給与体系の全面的な見直しに着手しました。
f0299108_152729.jpg

働きやすい職場には、透明性のある公平なルール(仕組み)が不可欠です。





そこで1年前より、主任、各所属長を中心とした人事制度プロジェクトを立ち上げ検討を重ねてきました。制度はみんなで作るもの。これはとても大切なプロセスです。
f0299108_1595940.jpg

第1回目の打ち合わせでは、「そんな人を評価するなんて、私たちにはできるのか…。」と不安ばかりの始まりでした。初めてのことばかりで、当然、前向きな気持ちにはなれなかったものと思います。




もちろん素人でできることには限界があります。

コンサルティングには医療・福祉のマネジメントに力を入れている㈱日本経営に依頼し、専門家を交えて制度設計を進めてきました。

家の設計と同じで、設計士に全て丸投げをしてはいい物はできません。黒潮園の課題、実態をしっかり分析し、私たちがどのようなことを実現したいのか、その目標を達成するためには、専門家との協働によるオーダーメイドでなければなりません。

その分、かなりの労力が要りましたが… 

これまでの現場の課題を網羅した、バランスのいい制度が出来上がったと思います。

この1年間みんなで議論を繰り返し、プロジェクトを通じて役職者の意識も大きく変わり、私たちのさらなる成長となったと言えます。




制度説明会の様子
f0299108_1516292.jpg

f0299108_151752.jpg

㈱日本経営 宮本氏による詳細説明
f0299108_15161117.jpg

質疑応答も…
f0299108_15201614.jpg





私たち社会福祉法人黒潮園はこの先5年、10年と永続的に地域に貢献し続ける必要があります。もちろん働く職員の生活を保障していくことも同じです。

介護事業はこれから儲かる?と短期的な見通し(採算)により、事業に新規参入されるケースが非常に多い訳ですが、現実的には今年度介護報酬の減額改定にあるように、社会保障費の財源が非常に厳しい実情のなかで、その場の経営ではなくて長期的な安定と持続は厳しい状況を迎えます。

社会福祉法人のこれまでの意識では、これからの厳しい経営状況に対応できなくなるでしょう。






私はこの事業を営む上で様々な矛盾を感じています。

人を手厚く配置し、充実した労務環境を整備し、行き届いた介護に取り組む。

人材育成に取り組み質の高いサービスを提供する。

介護の仕事を魅力的なものに… と職員処遇に力を入れる。


どれだけ前向きな取り組みをしても収入には反映されません。劣悪な労務環境や、ケアの内容を提供する施設があったとしても、報酬は全く同じなのです。
(それ所か、制度改正で報酬は下がる一方…)




これは一般的な市場では有り得ない原理ですよね。
普通は、いいものは高価。 安価なものはそれ相応のもの… ですよね。

残念ですが、人員を減らした方が利益は残る。
職員の処遇を下げると利益は残る。
だから介護現場の労務環境が良くなって行かないんだと思います。





お陰さまで、私たち社会福祉法人黒潮園は今年度の新規事業拡大に必要とする20名程の職員雇用が
できました。また年々、離職者も減り人材が定着する職場となりつつあります。

そして何より地域の方から、こだわり続けている『サービスの質』を評価する声を頂いています。




本日も新規入居のご家族へ、契約に伴う説明をさせて頂きました。

「本当に黒潮園に入れて良かったです。」

「周囲の者からも、黒潮園はこの辺りで一番いい所よ。本当に良かったねって言われます。」

「ここなら、安心してお任せできます。」

との声を頂きました。嬉しいですね。






さて、この様に人が定着する職場を実現してきた今、次の問題がでてくるのです。

何だと思いますか?



報酬×定員で決まる施設報酬収入は、年度ごとに増えることがありません。

しかし、人が定着するということは、これから5年、10年と昇給しますので、年度ごとに人件費は増え続けるのです。(昇給を定期的に実施していない施設もありますが…)

ということは、高齢化の進行に伴い介護保険財源が底をつくのと同じで、年々、利益が圧迫されていき… いずれ赤字になるかもしれないということです。一律昇給の年功型賃金制度は、もはや存続不可能と言えます。


人が定着すれば赤字になる事業?

やはり矛盾だらけです。


ではどうすればいいのか?

現場職員は専門職として、日々のケアにおいてチャレンジしています。
経営者はここで理想を捨てるのではなく、課題があるからこそ、解決にチャレンジするべきです。これが経営者のプロ意識と責務です。


 

ですから、今年度の人事制度改革では、いかにして魅力的な労務環境を維持し、かつ長期的に経営が安定させることが実現できる制度をつくる事ができるかという事への挑戦なのです。

人事制度を導入すると言うと、人件費を下げるためと思う方もおられるかも知れませんが、全く視点が異なります。




そこでこの1年間、私と小林部長、東課長、堀部事務主任を中心に人件費分析と、新制度の構築に相当な時間と労力を費やしてきました。

f0299108_16491494.jpg

歴史のある法人では、若くて主任になって頑張ってる者の給与が、年配の一般の職員より給与が低いということがよく見受けられます。この点についても見直しが必要です。
f0299108_16533080.jpg

f0299108_16534710.jpg

年功により給与を支給することは一見、『平等』であると言えますが、限られた人件費の原資の中では、働き方や、役割、責任に応じて一定のルールに基づき適正で効率的に配分する、『公平』な制度が重要となります。

目指すのは『平等』ではなく『公平』です。

意味の違いがわかりますか?


当然、医療も介護も基礎医学という根拠に基づいたサービスの提供が重要です。賞与の支給額の決定、賃金制度の決定には、ちゃんとした数字による根拠が必要だと言えます。

f0299108_1654040.jpg

私たちは、この1年間をかけて、職員の年齢や職種。賃金、扶養手当などの有無など、135名全員のデータを入力し、新制度に移行しても賃金を下げない工夫ができないか? また、このまま5年、10年と職員がキャリアを積み重ねていっても赤字にならない制度を作れないか… 収入に対してどこまで処遇を高くし還元できえうのか・・・

繰り返し、繰り返し、検討を重ねてきました。




そこで、最終は3月末、予算理事会の前日の夜まで検討を重ね、何とか形が見えてきました。

そして、この4月からの新人事制度の導入に至りました。

ちなみに、制度移行には3年間の移行措置期間を設け、資格の有無などにより給与が下がる方は3年間は給与を補填します。(職員の給与は下げません)




職員処遇の維持と経営の安定化に全力で取り組んできた、この新人事制度の構築への強い想いがゆえに、長文で熱い記事となってしまいました。お許し下さい。




息をつく間はありません。まだ詳細な財務分析と人件費推移シュミレーションを終えていません。また人事考課の評価項目の仕上げが残っています。

今年度の事業計画として、もう一息、頑張っていきます。



今年度事業計画のテーマ『新たなビジョンに向けた財務基盤の安定化』

その先の未来において… 私たちの法人は輝き続けていると確信します。

f0299108_2355225.jpg

クレール高森夕景 撮影:田中宏明
by kuroshioen | 2015-04-18 23:11 | Comments(0)