和歌山出張中に益田設計事務所からメールが入っていました。
先日、決定した床材について気になる点があり、変更案を検討して欲しいとのことです。(ずっと気になっていたのでしょうね。)広いユニット全体をイメージした時に、もう少し木目の色目の濃淡がはっきりしたものが適するのでは?ということで代替案のカタログデーターを添付して頂いていました。
工期と納期を考えると時間がなく、早急に決定したいと‥
ファイルをダウンロードして確認しましたが、やはり実際のサンプルを手にして確認しなければ判断は難しく、帰園するまで待ってもらう事にしていました。
大きな事を決めないといけない難しい場面‥
立場上、多々あります。
より的確な答えを導くことが出来るよう、あらゆる方向に考えを巡らせます。その奥行の深さが大切です。1つ1つの場面で絶えず自分自身の考えられる全てでもって決定します。
しかし、決断したことに全く迷いや不安が無いということはまずありません。
必ず頭の片隅で自問自答しています。
そのなかで決定したことに向かって突き進むのです。
前々回の定例会議、前回の
定例会議でサンプルを選別しようやく決定したフローリング材ですが、この益田・鈴木設計士からの問題提起が、さらに深く掘り下げて検討する機会となりました。
仕上げ材の決定は実際に現場(その部屋)で行うことがベストです。
現在、南棟の1階の型枠解体が進んでおり、今ならその場で比較できます。
そこで現場事務所ではなく、サンプルを持って実際に現場に入りその光の入り方と実際の色合いの見え方、全体イメージから再考しました。
実際の建物(環境)で自然光による色合いを検討
日光が当たった時の色合いと蛍光灯での色合いの比較
「どうしたんですか?」と通りかかった、現場監督畠さんの好みも聞いてみました。
現場検証しながら携帯電話でお互いの考えをやり取りし、最終の最終決定を行いました。
4つのユニットすべて異なる特徴を持つ空間設計を生かし、床材はユニットごとにそれぞれの特色をいかしたものを選択しています。
<最終決定したフローリング材とカタログイメージ>
南棟1階ユニットB
光がはいりにくい1階ユニットには、明るく温かみのあるライト系。この軽やかな雰囲気は最近の住宅での採用が多い床ですね。まだ福祉施設ではあまり見かけない色合いです。
南棟2階ユニットD
ハイサイドからの採光など最も光量が多い2階であるからこそ、光のコントラストを考慮し、ダーク系でお洒落なブラックウォールナットを選択。リビングの光量が十分であり、重いイメージにはならずいい感じです。
北棟2階ユニットC
同じ2階ユニットでも南棟のようにハイサイドからの採光はなく、面積が若干狭いリビングとなります。こじんまりとまとまったユニットであり、家庭的なリビングをイメージしカフェナット(ブラウン)でまとめました。
北棟1階ユニットA(ショート)
ショートユニットはホテルのような落ち着いた雰囲気をイメージし、リビング床材はカーペットを採用します。
このようにフローリング材は空間の雰囲気に大きく関係します。
それぞれのユニットに合った家具のデザインの選択も楽しみですね。 また観葉植物もいいかなぁ? 個人的には魚の泳ぐ水槽なんかあったらいいなぁなんて想いが広がります。 あくまでも自宅を設計するような感覚で、住まいとしての設えをイメージしています。
物事の決断するまでのプロセスには多くのエネルギーを要します。
素晴らしいものを造りあげたいというこだわりと想いが大きければお大きいほど一層です。
一度、決定した事案も少し時間を開けてから再確認すると、新たに見えてくるものもあり時には重要ですね。工期の都合上、十分な時間があるとは言えませんが、このように検討に検討を重ねることで形となっていきます。(発注段階での一部内容変更に、すぐに対応してくれる現場監督さんの対応にも感謝しています。)
日暮れが日に日に早くなってきていますね‥。