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クレール日記

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特養の食費、居住費軽減制度について

こんにちは。事務部、越水です。

新規事業としてグループホーム(以下GHと略します)ではなく地域密着型特養を選択した理由の一つとして
「利用料金の自己負担が少ないから」ということを、以前このブログで理事長よりご紹介いたしました。

なぜクレール高森を計画したのか② 入所施設と利用料金

このあたりについて、介護保険請求担当者としての観点からもう少し掘り下げてみたいと思います。

ご本人の負担料金に差が出るのは食費と居住費(部屋代、光熱水費)について、特養は介護保険による負担軽減制度の対象となるのに対し、GHは対象とならないからです。
ではなぜGHは対象外なの?という話ですが・・・

結論から申しますとGHは「(介護保険制度上は)施設ではないから」ということになります。
負担軽減制度は「施設の居住費」と「施設が提供する食事」について負担を軽減する制度ですが、実はGHは介護保険の制度上は「施設」ではなく「居宅」サービスに分類されます。

GHは一人暮らしが出来なくなった比較的軽度な認知症高齢者が集団で生活することにより各々の残存機能を活かして互いに助け合いながら暮らしを継続する場であり、それぞれの利用者様にとってはご自身の居宅という位置付けになります。

特養のような施設であれば、医師、看護師、栄養士などの専門スタッフが配置されており、健康管理もおこないますし、食事も施設側が提供します。GHにはそういった専門スタッフの配置はありませんから体調を崩せば直接外部の医療機関の対応になりますし、調理などの家事も利用者様が協力して職員の支援を受けながら自身で行います。とはいっても多くのGHが重度者を受け入れて特養的ケアをおこなっており、その違いがあやふやになっているのが実状だと思います。

居宅サービスだから軽減が受けられないということになると、ではなぜ施設の食費、居住費には負担軽減制度があるの?という疑問があるかと思います。

話は10年以上前にさかのぼります。介護保険法施行前の措置の時代、当時の特養は常時介護が必要となって居宅で生活できなくなった高齢者を行政が職権で入所させケアする、公的な高齢者の保護施設という意味合いを持っていました。その為、当時の入所費用については介護サービスにかかる費用だけでなく、食費や居住費等の生活費も含めた総額について利用者が能力に応じて負担し、残りは公費で給付されていました。

2000年に介護保険制度がスタートした際、当時の料金体系をベースに新制度に移行したため、食費、居住費についても介護保険給付の対象となりました。

その後、「食費、居住費のような生活費まで保険給付の対象にするのは居宅サービスを受けている方と比較して不公平ではないか?」という議論があり、2005年の法改正で給付対象からは外れました。ただし負担の激増を防ぐ目的から、所得に応じて負担上限を定め、差額を保険から補足給付する現行の負担軽減制度ができました。

こうした経緯でできた施設の負担軽減制度ですが、昨今新聞等で報道されているとおり見直しが行われています。2005年と同様、現行の負担軽減制度についても居宅サービス利用者との間の不公平の是正という観点から軽減の条件を厳しくするようです。
具体的には現状では年間の所得で判定を行なっていますので、多額の資産(不動産や預貯金)を有する方でも収入が少なければ軽減の対象となりますが、一定以上の資産を有する方を軽減対象外とするようです。これにより負担軽減の恩恵を受けられる方は減ることになります。

もともと保険の給付対象となっていた施設の食費、居住費を2005年に低所得者のみへの補足給付に変更し、今回更にその条件を厳しくするわけですが、保険給付を無くさない限り居宅サービス利用者との不公平感は解消されないわけですから、私個人の予想ですが将来的には軽減対象者を減らす⇒最終的に軽減制度が無くなる?方向に進むのではないかと思います。

今年に入り、国はこの他にも高額所得者の介護サービス料金負担割合アップ(1割から2割へ)や要支援サービスを介護保険の対象外とする事などの介護給付費抑制の政策を次々に打ち出しています。

少子高齢化の日本、今後ますます高齢化が加速します。現状のままではとうぜん制度が立ち行かなくなりますので制度改革/介護給付費抑制対策は必須であると思います。しかしながら本当に介護の手を必要とする方を切り捨てる事にならないよう、慎重かつ適切な改革をお願いします。

          黒潮園・ご馳走の日より  伊勢海老の姿造り
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by kuroshioen | 2013-09-26 15:59 | Comments(0)