クレール日記

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災害対策④ 自家発電機の燃料について

災害対策③電気の確保では、停電時の自家発電機の重要性について、東日本大震災で被災した施設の事例を上げて述べました。

近年、政府は企業に対して、予期せぬ事態が発生した場合でも、迅速かつ的確な応急対策を講じつつ、生命・財産を守り、事業を継続し短期間で平常業務へ復帰する体制を構築するために、災害対策マニュアルではなく、「事業継続計画(BCP)」の策定と普及を重点課題としています。

一度、大規模災害が発生すると、施設や設備が損傷や利用者や職員の被災、そしてライフラインが停止するなど、想像を絶する状況において懸命な対応が必要とされます。ご利用者さまの命を預かる福祉施設においても民間企業と同様に、災害時でも事業を継続し、施設入居者と地域社会の安全を確保することは極めて重要な課題であるといえます。

クレール高森ではショートステイを含めると39名の方が入居されます。
黒潮園では110名の方が入所されており、またデイサービスには約30名の方が利用されています。そう考えると約180名のご利用者さまの安全と生活の継続を考える必要があると言えます。

既存の黒潮園は築37年を迎えており、一部改修を計画していますが、新たに大規模災害を想定した設備や機能を付加することは事実上難しいと言えます。ですから、今回の計画では1つの施設を建設するというだけでなく、このクレール高森には、法人施設全体、また地域の災害拠点施設としての機能を持たせることが一つの使命であると考えています。




そこで電気の確保において、自家発電機のスペック、そのために必要とする設備費用との検討が繰り返され決定しました。



まず燃料の貯蔵の問題です。

特別養護老人ホームは老人福祉法においてスプリンクラーの設置が義務付けられており、これを稼働させるための発電機の法的稼働時間は20分程度で良いとされています。

しかし、ライフラインが停止した場合を想定すると短すぎで話になりません。

長時間発電機を動かそうと思えば、可能な限り大きな燃料タンクを作れば、その分だけ長時間の運転が可能となります。しかしこれは大規模災害がいつ起こるか想定できないなかで、燃料を使用することがないまま貯蔵し続けることにもなります。またタンクを大きくすると消防法上の管理の問題が出てきます。

台風12号の水害時の断水においては、自衛隊による給水支援を受けました。
自家発電も最低3~4日間を何とか自力で稼働させることができれば、その後は仮にライフラインが復旧していないとしても、自衛隊の協力など何らかの方法により燃料補給をすれば、発電を継続できると想定しました。

そこで燃料タンクは別置きとし、一般的な容量よりもはるかに大きい3~4日間連続稼働に対応できる大きさに決定しました。




次に燃料の種類です。

継続的な発電普ができると言えども、普段使わない軽油を大きなタンクに貯めっぱなしでは、大変効率が悪いものです。

クレール高森のお風呂など主な給湯設備には灯油炊きのボイラー給湯機を採用しています。
(各ユニット・個室は電気温水器を採用)
そこで、自家発電を燃料が灯油のものを選択し、この給湯設備のオイルタンクと、非常用のオイルタンクを兼用させ、1つにまとめるアイデアを思いつきました。

これにより普段はボイラーの燃料として使用する灯油を、非常時には自家発電の燃料として使うことができる上、設備費の軽減と燃料の劣化防止、スペースの有効活用が可能となりました。

このアイデアは小林事務長と考えました。設計には多岐にわたる知識と、発想力、アイデアが重要です。もちろん設計士はそのプロでもあります。しかし、すべてを設計士に任せっぱなしにするのではく、施主である私たちの考え方やこだわりがあってはじめて形になるものです。



このようにプランの決定から実施設計まで幾度となく打ち合わせを重ね相当なエネルギーを必要としました。

(余談ですが、設計事務所が東京のため、打ち合わせ場所を新宮と大阪とし、互いに行き来し行いました。場合によっては東京出張での打ち合わせという日も‥‥)

そして着工した現在、その細かい仕様の決定など、1つの施設が出来上がるためにはまだまだ険しい道のりです。長期戦ではありますが、気持ちが緩むことなく、完成してから後悔することがないよう設計士さん、施工者とともに計画を進めていきます。


長いお話になってしまいましたが‥ 今日は自家発電機を3~4日連続稼働させることができるように、燃料を一般的な軽油ではなく灯油とし、貯蔵タンクにも工夫しています。というお話でした。


次回は災害対策⑤で自家発電機のスペックについてお話をしたいと思います。
by kuroshioen | 2013-08-06 10:13 | Comments(0)