クレール日記

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2017年 03月 08日 ( 1 )

自立支援介護


これまでの記事『未来投資会議』『アジア健康構想』の中でも示されている、今後の介護保険制度の主軸とれさる『自立支援介護』について、今回、私見も含めてお話をさせて頂きます。


今回のテーマは『自立支援介護』を実践して得られた、介護度改善といった成果に、介護報酬で評価する(収入UP)。と言う事に対して起こっている業界での議論についてです。



どちらかと言えば、介護事業者に向けた内容となりますが、お付き合いの程宜しくお願いします。





特養の関係者に『自立支援介護』と聞くと、多くの方が業界団体である全国老人福祉施設協議会(全国老施協)が主催してきた「科学的介護実践講座・介護力向上講習会」にて学ぶ「自立支援介護論」を思い浮かべられると思います。


これは医師である、国際医療福祉大学竹内孝仁教授が講義される「水分・食事・排泄・運動」の4つの基本ケアを総合的に実践する介護理論であり、


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と具体的に基準が示されており、これに基づき参加施設のご入居者のアセスメントを行い、課題に対して実践的に取り組むというものです。この取り組みによりこれまで、参加した特養から「おむつ外れトイレが自立した」「歩行が出来る様になり要介護度改善」「胃瘻が外れて口から食事が摂れる様になった」といったご入居者の改善実績が報告されてきました。



先日、お話したように『未来投資会議』で取り上げられた『自立支援介護』とはまさにこれらの実績に裏付けされたものだということです。

(竹内教授他有識者がこの実績を情報提供)



これを機に、介護職によるケアが成果をあげているということがクローズアップされたのです。私は「お世話をする」だけではない「介護職の専門性」を国政が大きく認識したことは望ましいことだと思っています。


しかし、この直後、全国老施協からこの『自立支援介護による政策』へ異論を述べる意見書が厚労省に提出されたのです。それが、竹内教授を招いて「介護力向上講習会」を12年間も開催してきた特養の全国組織から発せられたことに戸惑いを感じます。




個人的には非常に残念なん思いですね。


今後、この様な講習会は開催しない方針だとか?





この問題は、要介護度の改善を一つの指標に良質なケアを介護報酬で評価するだけでなく、取り組めていない施設に対して、報酬減といったペナルティを課する(かも?)といった見解があったからです。


要するには不都合だと思う施設が、現実として多くあるということです。





全国老施協は「特養の新規入居者は要介護3以上に限られ、その中重度者の要介護度が重くなるのは自然の摂理である」と反論しています。その通りと言える訳ですが・・・



では、おむつを着けて寝たきりであった高齢者が、特養に入居しおむつが外れ、歩けるようになり笑顔を取り戻した、という成果は何なのでしょうか?


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私たちの施設でも、多くの実績を重ねてきました。








では、これらの改善事例は、自然の摂理に反した事象が起こったのか?



私の見解は、ただ「ご本人の残存能力が引き出された」ということです。


それだけです。





しかし、ここをしっかりアセスメントができて実践し、高齢者の自立を支援できるか否か、今後の医療・介護の在り方において非常に大きな意義があります


今、正にここに注目がされているのです。






実際に、高齢者の多くは加齢による変化だけではなく、何らかの要因による廃用症候群が重なることにより、自立度が低下しているのです。


・・・その要因は様々です


ご本人の自発性が低下し閉じこもり気味であった。介護者などマンパワー不足や住環境といったご本人を取り巻く環境の問題などもあるでしょう。介護予防や介護方法の啓発不足、サービスの不足といった社会資源の問題もあるかもしれません。



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しかし・・・




高齢者が廃用症候群となる要因には、




「トイレ介助が大変だからおむつを着けられた・・・」



「誤嚥して何かあったら大変だから、ペースト食にしていた・・・」



「転倒の危険性が高いので、ベッド安静に・・・」



「認知症で手が掛かるからきつい精神薬を処方されていた・・・」




などと、その背景にはケアの質に問題があることも現実です。



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私が医療(リハビリ)の現場から、特養での仕事に従事することになった訳ですが、先ず感じたことは 特養ケアの専門性の不足です。ケアの根拠が不明確で「今までこんなやり方だったから」「昔から」など、経験則に偏ったものが余りにも多く衝撃的でした。




「介護職がもっと基礎医学を学ぶ機会があったら・・・」



「ケアの専門性が高まると、ご入居者の暮らしの質が大幅に向上する・・・」



「自立支援・リハビリテーションの視点を持てば、多くの高齢者の自立度を高められるのでは・・・」



黒潮園の現在のケア体制に転換するまでは、大変悩みましたね








正直、既存の特養ケアの概念では、高齢者の残存機能を引き出すどころか、封じ込めている。と感じました。







この特養の実態をどう受け止めるべきか?



特養という場は病院ではない?高齢者の自立度改善は求められていないのか?



法人の指揮をとる者として、りは専門職であった個人としても大変悩みましたね。








そこで立ち戻るべきは・・・ 理念です。



そもそも介護保険制度の理念は『自立支援』と記されています。

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そこで、私たちは『専門性のある質の高いケアを目指す』という方針を打ち出し、全面的なケア改革に取り組んできました。


私は「この先、必ず介護も専門性、ケアの質が問われる時代になる。」と繰り返し職員に発信してきました。


報酬で評価せざるを得ない時が来る・・・と。







医療・介護と携わってきた私としては・・・



この国の流れは必然と思っています。







ではなぜ「必然」と言えるのか・・・



少し視点を変えて医療。



みなさんどうでしょうか?



高齢者の方が体調を崩して入院したら… どんなことに?

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例えば肺炎で入院。



入院を機に生活レベルが著しく低下してしまう・・・・



よくあることですよね。






入院をしたとたん認知症が悪化してしまった・・・



おむつを着けられた・・・・



歩けなくなった・・・・




疾患の治療を終え退院を迫られたが、ADLレベルが低下し家には連れて帰れない。



こうして高齢者が病院や施設をたらい回しになってしまう・・・・またそこには多額の医療費を要している







これは、高齢者のADL(自立度)を落とさない「生活支援」(自立支援介護)が欠けている現状によりおこる問題とも言えるのです。



看護師もリハビリ専門職も治療的な関わりが主となり、高齢者の生活支援(自立支援介護)が置き去りになっています



医療・介護の中で、本当の意味で「高齢者の生活支援」「自立度の維持向上」を担う専門職が存在していないことは、医療専門職も認識しています。勿論、国としてもこの現状を把握していることでしょう。






は、高齢者の廃用によるADL低下(自立度低下)を誰が防ぐのか?




ここで、今、介護職の専門性が注目されているのです。


介護職が期待されているんです!! ここが重要なポイントです。











この「未来投資会議資料」をご覧ください。



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今後、高齢者の疾病やフレイルによる身体状況の悪化防止策に『リハビリ』だけでなく、『自立支援』という言葉が並列に記されています。これまでの様なリハビリの位置付けだけではダメだという事を意味しているのです。






実は私も職員に対するセミナーで、よく似た資料を示し解説します。


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皆さん。多くの方が歳を重ねても健康でいたい! または美しくありたい! って思いますよね。


色んなサプリメント、化粧品で老化の影響を最小限にとどめようと努力しますよねって。(笑)


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皆さんの美容への挑戦。これこそ残存能力を最大限に引き出す自立支援。廃用予防なんです。(笑)



寄り添う介護、これまでの経験則を中心とした『お世話をする介護』・・・ そこから脱却した『自立支援介護』の実践が廃用を予防し、自立度維持・改善につながるんです。






しかし、残念ながら…どれだけ美容に力を入れても若返りはありません。しかし放置するよりは何らかの成果があるでしょう。ですから、『自立支援介護』で自然の摂理に反して要介護を改善させるなど有り得ません。あくまでも残存能力を最大限に引き出す支援をするという事です



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全国老施協の厚労省への意見申し立てを始め、同じ特養の業界でも様々な否定的な意見や動きが見られます。ほんと視野が狭いですね


日本の寝たきり患者数は欧米諸国の5倍だそうです。アジア健康構想推進協議会では、「不十分な急性期医療」、「中途半端な慢性期医療」が原因であると医療側の有識者自ら言い切られているのに 特養の関係者は異議申し立て





皆さんご存知のように、


今後の社会保障の方向性は・・・。




『地域包括ケア』です


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そこで、重要な視点は『医療・介護連携』です。



この地域包括ケアシステムを築きあげるためには、急性期医療 ⇒回復期リハ・老健 ⇒施設・在宅の流れが一つに繋がることが不可欠です。ちなみに、回復期リハ病院、老人保健施設といった在宅への架け橋となる仕組みがあるのは日本だけだそうです。(仕組みは素晴しいが…?)




そこで課題となってくるのは・・・ 



先程から述べている、高齢者のADL、自立度の維持・向上を支える「生活支援」(自立支援介護)の不足






見えてきませんか?





看護師でもリハビリ専門職でもない・・・・



『医療・介護連携』を担う専門職







「自立支援介護」を実践できる介護職の必要性が!!







急速に進む高齢化、医療・介護費の増・・・ 様々な問題を解決しなければならない今、医療や介護現場でみられてきた「本当はこうあるべき って分かっていて見過ごしてきた課題」を見過ごしつつ、やり過ごす事ができない時代に来ているんですよね。



ですから、未来投資での安倍総理の「自立支援介護へのパラダイムシフト」、未来投資会議における海外に輸出する日本式介護「地域包括ケアの整理と自立支援介護の位置付け」という国政の動きは、今後更に加速することでしょう!

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未来投資会議『自立支援と介護報酬』

http://kuroshioen.exblog.jp/27233510/



この流れが変わることはあるのでしょうか?



国が掲げる『地域包括ケア』。これが今更消えてなくなることはないでしょう。


繰り返しになりますが、この『地域包括ケアシステム』を築きあげるためには、『医療・介護連携』が不可欠です。『自立支援介護』を実践できなかったら報酬減。死活問題とも言いたい気持ちは理解できますが、求められているのは、医療と連携が取れる専門職。『自立支援介護』(科学的介護とか竹内理論とかそんな視点じゃない)が実践できる介護職だと私は思います。


どの医療専門職が共通して学ぶ、基礎医学、生理学といった身体の仕組みを理解した、その根拠に基づく介護を作り上げる事が必要なのです。




新たに設けられた地域包括ケア病棟を始め、回復期リハ病院、特養した老健?とにかく在宅復帰が厳しく求められてきます。また受け皿となる特養や在宅の高齢者が健やかに過ごすことが出来、体調悪化で入院に至らない良質なケアが求められるでしょう。そこで活躍する介護職が報酬でも評価される… 必然でしょうね。いやそうあって欲しいものです。


この先、施設だけでなく医療機関でも医療専門職と方を並べて、排泄コントロールのアセスメント等…在宅復帰に向けたチームカンファレンスの一員として、介護職が活躍する光景が当たり前になるかも・・・ですね。(笑)




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介護職のみなさん。





今、何が起こっていて… これからどうなって行くのか? 大河の流れる方向・・・



しっかりと見据えて行かないといけませんね。








医療・介護は理念を追求するものです。



私たち法人は常に『あるべき姿』に向かって、前進し続けていきます。







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by kuroshioen | 2017-03-08 12:51 | Comments(0)