こんにちは。
『人生を変える賢い腸のつくり方』
面白いタイトルですよね。
これは、京都府立医科大学付属病院内視鏡・超音波診断部部長 内藤裕二先生の著書のタイトルです。内藤先生は消化管の専門医として患者さんの治療に携わる一方で、腸に関する研究に取り組まれています。
最近、耳にする言葉に
『腸内フローラ』という言葉があります。
腸内フローラとは腸内の細菌が形成する生態系のことを言います。これまで注目のされていなかった臓器『腸』ですが、近年その研究が盛んとなっており、あらゆる種類の腸内細菌のバランスが様々な身体の状況に関連していることが、最新の研究で明らかになってきているんです。
私たちの腸内に生息するこの多種多様な細菌はなんと数百種600兆個以上にもなります。
特に小腸から大腸にかけて、これらの細菌が種類ごとにグループを形成してまとまって腸の壁面にすんでおり、顕微鏡で腸の中を覗くと、それらはまるで植物が群生している「お花畑([英] flora)」のようにみえることから、『腸内フローラ』と呼ばれています。
少し前にNHKスペシャルでも
『腸内フローラ解明!驚異の最近パワー』という番組でで、その最新の知見が特集として放送されていました。ご覧になられた方もおられるのではないでしょうか?
その内容は本当に驚くものでした!!
この
書籍『人生を変える賢い腸のつくり方』には、その最新の研究内容や、実際に健康を整える活用法まで、腸内フローラに関する内容が幅広く紹介されています。
実は、この書籍の最終章にて、医療・介護施設で認められている「グァー豆酵素分解物」という章で、私たち黒潮園の取り組みが、
『事例③オムツ交換主体の作業的ケアの改善をめざし、グァー豆酵素分解物を採用』という内容で紹介されています。
便秘に効果のあると一般的に言われている「食物繊維」ですが、水に溶かすことのできるものを「水溶性食物繊維」と言います。
詳しくはこちらの記事
『水溶性食物繊維の効果』をご参照ください。
リンク
http://kuroshioen.exblog.jp/23438770/
私たちも高齢者の排泄自立と便秘解消を目的として、この「水溶性食物繊維」をお茶などに溶かし提供することを試みました。
難消化デキストリン(低発酵生の水溶性食物繊維)を主成分とするものが、比較的安価で入手可能だったので購入してみたのがきっかけでした。
(施設経費を考慮し安価なものをという事で・・・笑)
しかし、それでもどうしても効果が出ないケースが出てきました。
そこで、次にこの腸内フローラのエサとなり善玉菌を増やして腸内環境を整える高発酵性の水溶性食物繊維「グァー豆酵素分解物」を採用しました。その結果、排便コントロールに顕著な成果が得られたのです。その内容が紹介されています。
今、私達のケアにおいて、この腸内環境を整える高発酵性の水溶性食物繊維は欠かせないツールの一つと言えます。腸内フローラの世界を知ると、更にその意味と重要性を強く感じますね。
『腸』は『第二の脳』とも呼ばれています。首から下の神経細胞の実に50%、数にして約1億個の神経細胞が腸管に集中しており、腸は脳の次に神経細胞が多い臓器と言われ着目されています。
さらに、腸内細菌が出す物質は神経細胞を刺激するものが数多くあると発見されており、これが脳へ伝わって感情などに影響すると言われているのです。
腸がストレスなどで脳からの影響を受けることはご存知かと思いますが、逆に腸から脳に影響を及ぼすことが示唆されているのんですよね~ 不思議ですよね。
これを「腸=脳相関」と言います。
ある研究では、高さ5cmの台から降りられない臆病なネズミと、すぐに台から降りた好奇心お旺盛なネズミ、それぞれの腸内フローラを入れ替えるとどうなるか調べました。すると、臆病だったネズミが台から早く降りるようになるという逆の性格になってしまったというのです。
この腸内細菌で「うつ病」が改善されるのではないか?と臨床実験も開始されています。
このように性格と腸が関連しているという研究結果も出ている他、腸内環境と「糖尿病」「高血圧」、そして「パーキン病」まで… また「お肌の健康」とも関連していることも確認されており、腸内環境が私たちの美容や健康に大きく影響していることが、次々に明らかになってきています。
乳酸菌やオリゴ糖など各分野の研究者、もしくは企業がかなり力を入れて研究されており、今後、更に様々な知見が明らかになってくるでしょうね。
腸内フローラ「エクオール」でお肌のシワが減少?NHKスペシャル「ダイエット」「老化防止」解明!驚異の細菌パワーより
更年期の女性67人に、腸内フローラが出す女性ホルモンに似たエクオールという物質を飲用した実験で、シワが浅くなる結果が得られたというものです。
若返り?に興味のある方は… 発酵性の高い(=腸内フローラのエサになりやすい)食物繊維に着目してみてはいかがでしょうか?
この不思議な腸内フローラについて、是非、この書籍を読まれるのもいいと思いますし、ネットで検索してみてください。大変面白いことを知ることができると思います。
この興味深い『腸内フローラ』の知見については、次の機会に少し紹介させて頂きますね。