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クレール日記

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おむつゼロ達成

突然のご報告です。




昨年、12月6日

私たちクレール高森において『おむつゼロ』を達成しました。




これは「尿漏れ対策としてパッドは使用しますが、排便のためのおむつはできる限り使用しない。」そしておトイレでの排泄自立を支援するというものです。







先だって、黒潮園が全国老人福祉施設協議会の主催する介護力向上講習会に参加し、『おむつゼロ特養』の認定表彰を受けました。
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黒潮園ロビーに飾られた楯
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おむつゼロ特養にその証として授与されるクリスタル









クレール高森も今年度、県下の23施設が参加し、1年間を通じて「自立支援のケア」を学び実践する、介護力向上講習会和歌山分校に初参加しました。




私たちは、『その人らしい暮らし』の継続を支援する、ユニットケアに取り組んでいます。
『暮らし』=おむつ?では、私たちの目指すユニットケアとは言えません。ということでクレールこそ、おむつゼロを目指したい・・・



クレール高森 開設1年目。

取り組み初参加で『おむつゼロ特養』を実現しよう!!

と東キヨ主任と目標を立てました。







先日、『排便リズムの把握』という記事で、私たちの取り組む排泄ケアについてお話をしました。
29名のご入居者の中で、どうしてもこの排便リズムのコントロールが成功せず、おむつを外せない方が1名おられました。



その方は、近くのサービス付き高齢者住宅から入所された方でした。



当初、ご夫婦で入居されていたそうですが、


旦那さまが先立たれ … 

やがて発語も殆ど見られなくなり …

常に目は閉じたまま …

食が細くなり …

体力は日に日に衰え …



ここ1年間はベッド上の生活となってしまったそうです。





そして最終的にはお食事を摂ることが出来なくなってしまったという事です。






やわらかく陽が射し… お花が飾られた居室
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TVの音が聞こえてくるお部屋で、Sさまは静かに休まれています。






92歳とご高齢でもあることもあり、医師から看取りを考えていく判断がなされ、看護師が常時配置されている特養に… とクレール高森に転居されてきました。






入所時の私たちのアセスメント(直感?)では、
まだケアで回復する可能性があるという印象を受けました。


いつ誤嚥してもおかしくない状況でしたが、病状の回復に向け毎週カンファレンスを行い、日々のきめ細かなケアを重ねてきました。






何も口にされないということに、ご家族からの聞き取りにあった「シャーベットがお好きだった。」という事から、栄養剤を凍らせたシャーベットを数口食べて頂き、栄養量を確保するという所から始まりました。





環境への配慮として、食事もベッドではなく、

普通にリビングのテーブルに座って頂き・・・



4ヶ月かけて、さまざまな食事への工夫を重ね・・・


最終的に普通の食事をほぼ全量召し上がって頂けるまでに回復されました。





このような劇的な回復の中で最も嬉しかったことは・・・

初めて一言二言、言葉を発せられたときでした。




とても感動しました。




日頃は目を閉じて、お話しをされることは殆どありませんが・・・
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静かに過ごされ品のある方です。






ただ・・・・



おトイレに関しては、入居時よりずっと不安定で、積極的におトイレに座って頂くも難しく、おむつに排泄をされることがほとんどでした。



ここまで回復されたのに、排泄はおむつに・・・




何とかこの状況を解決したいと、職員が一丸となって支援を行ってきました。


排泄リズムの把握は大変難しく難航しました。








しかし・・・


諦めなかった結果、トイレでの排泄の成功に至ったのです。





この最後のお一人の方のトイレの自立は、職員も相当頑張って支援してきたこともあり、その喜びはひとしお大きいなものでした。







このように92歳で食事を食べられなくなり… 終末期を迎えられたと判断された方が、普通に食事を食べられるまでに回復されたこと。これはご家族や医師の考えを遥かに超えた、想像もできないものでした。

しかし私たちはこれまでの経験から回復の可能性を感じ、かなりハードルが高いことを承知でチャレンジしました。入居時には医師とは違った私たちの見解に、ご家族の少し困惑する表情が印象的でしたね。




今ではそれまで以上にご家族の信頼を頂いていることは言うまでもありません。


そして私たちの大きな自身にもなりました。





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自宅で使い慣れた家具と、ご本人が大好きなお花





今回、施設として『おむつゼロ』を達成したこと以上に、このようなきめ細かなケアを実践し、成果を上げることのできるチームがあるクレール高森に誇りと感動を覚えます。

『暮らし』の継続を理念としたユニットケアですが、その『暮らし』を左右するものとして、ご本人の身体能力や病状が根底にあることは間違いありません。

お世話をさせて頂く家庭的な支援だけでなく、専門的な視点から自立を支援するケアのノウハウがあることが私たちの強みであり、そこに本当の意味で、ご入居者さまの『その人らしい暮らし』の継続があるものと思います。





今後も幅広い視点からご入居者の『暮らし』を考え、支援をしていきたいと思います。






PS:現在、必要となる資料を全国老人福祉施設協議会に提出し、近日中に『おむつゼロ特養』に認定されるものと思います。
by kuroshioen | 2016-01-14 17:30 | Comments(0)